【ネタバレ】アイナナ6部6章読書感想文

環くんもそーちゃんも、自分の中に『父親(の嫌なところ)』を見出しては、気分が悪くなっていた。作曲に夢中になったそーちゃんに「俺を無視するな」「置いていかないで」と怒る環くん。海外へ行こうとする環くんに「行かないで」「僕には君が必要なのに」と手を伸ばしたいそーちゃん。

 

『父親』の影が根深いからこそ、その感情を嫌悪してしまって堂々巡りになっていたけれど、万理さんがフラットな立ち位置から「普通のことなんじゃない?」って言ってくれたことが、めっぞにとっての救いだったなぁと切に思う。

 

「自分のやりたいことってなんだろう?」

「周りの人から置いていかれているみたいで焦る」

「焦燥感」

 

この環くんの悩みは、とても10代の若者らしくて、何なら健全であるとすらいえるものだと思う。だから、私も環くんのことを応援したくて、でもどうしたらうまくいくのかわからなかった。だから、万理さんが「振り付けやってみない?」と提案してくれた時は、目から鱗が落ちるようだった。

 

初期の頃、よく振り付けをアレンジしていた環くん。そしてそーちゃんにそれを嗜められていた環くん。

でもあの頃とは全く違う。今は、MEZZO"にもIDOLiSH7にも愛とリスペクトがあって、そして技術も研鑽されている。

万理さんが環くんの「やりたいこと」に真正面から向き合って、たくさん考えてくれたお陰だなぁと涙が止まらなかった。たしかに、あのまま環くんが留学していたら、もっと寂しくなってしまったのだろうなぁ。

 

アイナナメンバーに、新曲を振り付きでお披露目するシーンも、すごくあったかくてまた泣けてしまった。

照れながらも誇らしげで、キラキラ輝く環くんと、やり遂げた顔をしながら、嬉しそうに環くんの隣にいるそーちゃん。名MCの三月が曲振りして、みんなでやんややんやと盛り上げて。もう一回歌って踊るめっぞの姿のなんと晴れやかなことか。

 

自分のために、自己表現のために、今自分にできることをやり抜きたくて曲を作るそーちゃん。

自分がすごい人になるためではなく、誰かの「ありがとう」のために、がんばりたい環くん。

 

正反対で、凸凹だけど、だからこそ惹かれ合って、繋がり合えるめっぞが本当に好きだな……めっぞがお互いを諦めないでいてくれて本当によかった……と感じた66章でした。